てにらぼ

テニスを科学する -tennis training lab-

カロリーを知り、カラダをつくる

なりたいカラダは自分で作る

最近、どうやってマッチョになるの?どうすれば痩せるの?など体つくりに関する質問をよく受けるので、今回はテーマをフィットネス寄りにして書いていきたいと思います!

近年、パーソナルトレーナーによる運動処方と食事調整によって体つくりを行う人が増えています。運動については、まず外を走ってみたり、トレッドミル(ランニングマシーン)に表示された消費カロリーを眺めたりする人が多いのではないでしょうか。しかし食事の調整については、具体的なことが分からない人が多いのではないかと思います。大前提として、食事を極端に減らすダイエットはせっかく身に付けた筋肉を落としてしまったり、健康を損なうので絶対にやめましょう。人間が健康を最低限維持するために必要なカロリー量は基礎代謝(体温調節など生命維持・恒常性のために消費しているカロリー量)と呼ばれており、ここにその日の身体活動(仕事や運動)によって消費するカロリーを上乗せし、そこから収支計算することが理想的な体重を目指すための基本的な考え方となります。ベースとなる基礎代謝量は個人によって異なります。なので他人と比べるのではなく、減量・増量したい方は数字を自分で管理して取り組むことが大事です。さぁ、あなたの基礎代謝量を確認してみましょう。

 カロリーコントロール

 「カロリー」とは、ラテン語で「」を意味するcalorに由来しています。食事によって摂取した栄養素を、酸素を利用しながら分解してエネルギーに変換するときに発生する熱量の単位です。これが「消費カロリー」と表現され、摂取食品の栄養素自体が「摂取カロリー」と表現されています。カロリーを持つ栄養素は、三大栄養素とよばれる糖質・脂質・タンパク質だけです(糖質・タンパク質:4kcal/g  脂肪:9kcal/g)。消費カロリーが摂取カロリーを上回れば体重は減少し、摂取カロリーが消費カロリーを上回れば体重は増加しますから、体重を維持したければ収支0を目指して生活すれば良いわけです。

 「高カロリーの食事」とは、エネルギーへの分解までに体内で多くの酸素を必要とすることを意味します。そして多くの酸素を得るためにはそれに見合った身体活動が必要になってきます。三大栄養素の中で脂肪は特に高カロリーなので脂肪中心の生活だといわゆるエネルギーまで分解されなかった燃え残りが出やすいのです。その分が中性脂肪となり皮膚の下にある脂肪組織に回されてしまいます。それが膨らんで肥満です。多くの人が危惧するのはここですね。。。まぁカロリーを脂肪以外から積極的にとれば良いのですが、ここは最後で解説しましょう。

 基礎代謝量を計算しよう

1日の消費カロリー(総エネルギー消費量)は、今から計算する基礎代謝量に身体活動レベルを乗じることで分かります。基礎代謝量の計算には体脂肪率が必要ですが、ジムや家電量販店にある電極のついた体重計で簡単に測定することができますので、把握できる前提で話を進めていきます。ここからはカロリーの単位をkcalと表記していきます

除脂肪体重とは、脂肪を除いた体重(主に筋肉・臓器・骨格の重さ)のことです。これは脂肪の重さを体重から引くことで求めます(体重×体脂肪率=脂肪の重さ)除脂肪体重1kgあたり、28.5kcal消費しているので求められた除脂肪体重に28.5をかけることで基礎代謝量が明らかになります(JISS式)。詳しくは下の例をご覧下さい。

 例:体重70kg体脂肪率20%のAさん男性(女性)の1日の基礎代謝量など

 ・体重:70kg                                               

体脂肪率:20%                   70 × 0.2 = 14

・除脂肪体重:56kg                 70 - 14 = 56

基礎代謝: 1596kcal                  56 × 28.5 = 1596

・安静時代謝量:1915kcal               1596 × 1.2  =  1915

・一日の消費カロリー:3192kcal    1596 × 2.0  =  3192

(一日2時間ほどのテニスを行う場合)

 

Aさんの基礎代謝量は約1596kcalということが分かりました。生命維持のためには摂取カロリーが最低限このライン必要になります。もう少しゆるい条件で、運動とまではいかないが座ったり寝たり安静に酸素を摂取している安静時代謝においては、この1.2倍の約1915kcal消費しています。

しかし、人間はさらに歩いたり、座ったり立ったり、事務仕事など生活の中で最低限の身体活動を行い+αの酸素を消費しています。二重標識水と呼ばれる、特殊な水を飲んだ後の尿検査で一日の酸素消費量がわかる実験があります。それによると一日2~4時間のテニスを行う50歳代の女性の1日の消費カロリーは基礎代謝量の約2倍になることが分かりました。基礎代謝量に乗じる身体活動レベルの係数は2.0となります。他にも軽めの運動で1.5~1.7、マラソンや高校野球並みの練習量で2.5~2.6になります(日本人の食事摂取基準,2010 ・日本体育協会,2013)。

テニスなどの球技系スポーツの身体活動レベルは「2.0」となりますので

基礎代謝量 × 2.0 = 1日の消費カロリー

となります。Aさんの1日の消費カロリーも上の例に出したので参考にしてみてください。

まとめ(食事のアドバイス

食事調整のアドバイスですが、現在の体重を維持したいのであれば一日の消費カロリーをざっくりと計算してそれに見合った食事による摂取カロリーを心がければ大丈夫です。摂取カロリーの内訳は糖質(炭水化物)45~65%、脂質20~35%、タンパク質10~15%にするのが理想ですので下の例で参考にしてください。

 例)約3200kcal摂りたかったら・・・

糖質500g × 4kcal  =  2000kcal    61%

脂質90g   × 4kcal  =    810kcal    25%

タンパク質120g    × 9kcal =  480kcal    15%                計  3290kcal  

 

 冒頭でも書きましたが、消費カロリーが摂取カロリーを上回れば体重は減少し、摂取カロリーが消費カロリーを上回れば体重は増加します。カロリーバランスが正なら体組織の同化(合成)が促進され、カロリーバランスが負なら異化(分解)が促進されるためです。負の場合少なからず筋肉も分解されますから、筋肉量をキープしたまま体重を落とすことは理論上不可能です。脂肪と筋肉は必ずどちらも落ちます。相対的にどちらの方が落ちるかは遺伝による個人差があります。

 

体重を増やしたい人は脂肪を増やしたいのではなく、筋肉を増やすことで増量したいのでしょう。摂取カロリーの余剰分を全て筋合成に使いたいのであれば当然タンパク質からのカロリー摂取を増やすことが大事です。体重1kg×2gのタンパク質を摂取するよう心がけてください(体重70kgの人であれば140g)。タンパク質は肉などに含まれるわけですが多く摂ろうとすると当然脂肪もセットですし、これだけの量のタンパク質を摂ろうとすると相対的に脂肪の量も高くなります。そのため低脂質高タンパクの鳥胸肉や手軽に補給できるプロテインの力を借りる必要があります。筋肉を増やして増量するのにはコツが要るのです。

 

食事を意識すると体は驚くほど変化します。私たちの体は食べたものを燃やしてエネルギーにして、その栄養素の恩恵を受け続けているのですから当たり前ですね。

なりたいカラダは運動と食生活の二本柱で行わないと結果が出ません。普段トレーニングに勤しむ方は、食事を変えただけで体の変化を直ぐに感じることができるはずです。